リサーチ用語集

スクリーニング調査(予備調査)と出現率調査|マーケティングリサーチ用語(全般)

スクリーニング調査(予備調査)

定性調査と定量調査に関わらず、調査の対象者を探し出すための調査をスクリーニング調査、あるいは、予備調査と呼びます。

スクリーン(screen)という英単語は、名詞として、映画のスクリーン(画面)や仕切りなどの意味の他に、(砂・穀物などに用いる目の粗い)「ふるい」という意味があります。(参考までに、裏ごしなどに使う目の細かいものは、sieve や fine sieve と言います。)

このスクリーン(screen)は、動詞では、(~を)隠す・(~を)覆う、(間仕切りなどで)分ける、(映画館で)上映する、という意味の他に、(砂などを)ふるいにかける・選抜する・審査するという意味があります。そして、スクリーニング(screening)は、「ふるいにかけること」、つまり、「ふるいわけ」を意味します。

スクリーニング調査(予備調査)の具体的なイメージとしては、
1.デプスインタビューの対象者として、ある特定の病気を患ったことのある人を10人集める
2.グループインタビューの対象者として、ランニング愛好者を年代別に5人×5グループ集める
3.ネット調査の対象者として、A製品の利用者300人とB製品の利用者300人を集める
などが挙げられます。

ところで、定性調査・定量調査に参加してくれる回答者は、調査会社に事前に登録をしている人達で「モニター」とか「パネル」と呼ばれます。モニター(登録者)は、スクリーニング調査(予備調査)や本調査に回答することで、報酬を得ることができます。

また、調査の費用は、
1.調査の企画・設計費用
2.スクリーニング調査(予備調査)の実査費用
3.本調査の実査費用
4.調査結果の集計費用
5.調査報告書の作成費用
などから構成されています。

調査を依頼する側からすれば、できるだけ調査費用を抑えたいはずです。 しかし、モニター(回答者)への謝礼の支払い額が増えるほどに、調査の実査費用は増えていきますので、謝礼の支払いを必要最低限に抑えることが必要になります。

そのためには、必要以上の人数のモニターに報酬を支払わないことが重要になります。しかし、だからと言って本調査の回答者を集めることができないようでは困ります。また、調査の実施には「納期」という時間の制約もありますので、何度もスクリーンング調査を継ぎ足しながら実施するということも現実的ではありません。(ただし、どうしてもサンプル数が足りない場合には、追加でスクリーニング調査を実施することもあります。)

それでは、過不足のない状態で、スクリーニング調査(予備調査)を実施するために、調査会社はどのような運用をしているのでしょうか。

まず、調査会社ではモニターの属性データ(在住の都道府県、年代、性別など)を持っています。そのために、「東京都在住の30代の女性」という単純な条件であれば、自社のモニターの中で該当者がわかっています。その該当者の中から、本調査に回答してくれる人を見つけるだけですので、最低限の費用でスクリーニングが完結します。

一方で、特定の製品やサービスの利用者(本調査の対象者)を見つけ出すような場合は、どうするのでしょうか?

例えば、「アマゾンで買い物をしたことがある人」や「ネットフリックスを見たことがある人」というようなメジャーなサービスの利用者であれば、調査会社で過去に同じような調査している場合が多くありますので、過去の実績から、出現率を予測することができます。

この出現率というのは、条件に合う人がどれくらい存在するのかを表す割合です。
例えば、「アマゾンで買い物をしたことがある人」を探し出すとして、モニター1000人のうちで「アマゾンで買い物をしたことがある人」が200人存在したとすれば、出現率は、200÷1000=20%となります。

では、もっとマイナーな商品やサービスの利用者を見つけ出すためには、どうするのでしょうか?
実は、そういう場合には、スクリーニング調査の前に「出現率調査」を実施して、出現率を測定します。

出現率調査で、1000人に対して条件に合致する調査対象者が1人出現すれば、出現率は 0.1%となります。 この0.1%という数値が、出現率調査の成果です。

その出現率0.1%という条件で10人の調査対象者を集めたいのであれば、1万人のモニターに対してスクリーニング調査を実施する必要がありますし、100人の調査対象者を集めたいのであれば、10万人のモニターに対してスクリーニング調査を実施する必要があります。(実際には、余裕をみて、もう少し多めにスクリーニング調査への回答を依頼することになります。)

このように、出現率が未知な場合には、まず、1000人程度で出現率調査を実施して出現率を測定し、その後、スクリーニング調査(予備調査) ⇒ 本調査 へと調査を進めていくことになります。





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