マーケティングリサーチには、「定性調査」と「定量調査」があります。これは、決して調査手法の分類ではなく、調査の目的や役割の違いだと考えるほうが良いかもしれません。
マーケティングリサーチの目的は、「仮説の検証」です。
調査の活用方法を理解していないと、むやみに、サンプル数と設問数を増やして、とんでもない金額(費用)を浪費してしまうことがあります。それは、「たくさんの人に、いろんなことを聞けば、きっと何かがわかるはずだ」という誤解・思い込みがあるからです。しかし、仮説検証型の調査でなければ、多くの費用をつぎ込んだにも関わらず、何も成果を得られないといことが起こります。そして、「リサーチなんか、何の役にも立たない!」と憤ることになるのですが、それはリサーチの使い方を理解していないことから起こる不幸です。
マーケティング活動の第一歩は、仮説を立てることです。
例えば、
「子育て世代の夫婦は、子供の健康のために有機野菜にお金を使う」とか
「70代の女性は、家族よりも友人と旅行に行きたがる」などが仮説です。
しかし、子育て世代ではない人が、子育て世代のことを想像して仮説を立てたり、あるいは、70代女性ではない人が、70代女性のことを想像して仮説を立てると、とんでもなく的外れなことを考えてしまうかもしれません。
そこで、ターゲットとなる人達(ここで言う「子育て世代」や「70代女性」)に、日々、考えていること・感じていることなどを教えてもらって、そこから課題を抽出し仮説を立てていきます。
そのときに、ターゲットとなる人達が自分の周囲にいるのであれば、直接、話を聞いてみれば良いでしょう。しかし、5~10人程度から話を聞くとなると、結構、難しいかもしれません。そこで、調査会社に依頼して、ターゲットとなる人達を集めてもらって、話を聞いてもらうのが「定性調査」です。
つまり、定性調査の目的は、「仮説の立案」です。
次に「定量調査」の説明をします。
自分自身で話を聞いて回ったり、あるいは、調査会社にお願いをして定性調査を実施して仮説を立てた後、それが多くの人達の考えや行動と一致しているのかを確かめるのが、定量調査です。定量調査では、100人や1000人などの規模の対象者に調査をすることになります。
調査の対象者は、ターゲットとなる層だけに限定する場合もあれば、敢えて、比較のためにそれ以外の層も調査の対象とする場合もあります。
ちなみに、昔は、郵送調査や電話調査が定量調査の主流でしたが、インターネットが普及してからはインターネットによる調査(ネット調査)が定量調査の主流です。
また、対象者を増やせば増やすほどに、統計上の誤差は小さくなります。しかし、対象者を10倍にしたからと言って、誤差が10分の1になるわけではありませんので、費用対効果を考えながら対象者数を決めることになります。
そうして実施した定量調査の結果をもとに、企業は施策の「ゴー」「ノーゴー」を判断することになります。

2022/10/26

2022/10/2

2022/9/28